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【小説】『ロンリネス』桐野夏生 あらすじ&ネタバレ感想

【小説】 『ロンリネス』 桐野夏生 あらすじ&ネタバレ感想
Haru
Haru

『ハピネス』の続編。


おそらく、前作の段階では続編の構想って無かったと思います。
なので、前作のネタを使って続編書いてみましたって話。


『ハピネス』は登場人物のことがよく分かるので、
先に読んでおくことをおすすめします。

『ロンリネス』

この記事を書いた人
みての

年間100作品くらい本を読む36歳サラリーマンブロガー
暇があれば書店・古本店へ行く為、読むペースより買う本の方が圧倒的に多い供給過多状態。
それでも本を買うのが至高過ぎて止まりません。
すごい勢いで積読本が増えていきます。誰か助けてください。

〈読書遍歴〉
幼少期:絵本・児童書
小学生〜中学生:週刊少年ジャンプ・月刊コロコロコミック・月刊ファミ通ブロス・週刊ゴング
中学生〜20代:週刊ファミ通・電撃プレイステーション・ファッション誌男女
20代後半〜現在:小説・ビジネス書・自己啓発書に。最近は文芸誌も。

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『ロンリネス』あらすじ

離婚の危機を乗り越えた岩見家だったが、娘・花奈のお受験や、
夫・俊平の実家のある町田への引っ越し話を巡って、夫婦仲はぎくしゃくしている。

そんななか、有紗はふとしたきっかけから同じタワーマンションに住む
高梨と二人で会うようになり、ダブル不倫中の美雨ママに相談するうち、
彼に強く惹かれていく自分に気づく。

許されない恋の行く末は――!?

引用元:光文社

『ロンリネス』ネタバレ感想

ここより先、ネタバレがあります。

下階の住人、高梨との出会い。
前作『ハピネス』の登場人物を使ってドラマ『昼顔』を演じてみました、という感じの話。

有紗

主人公は一児の母・有紗。
海外出張から帰ってきたマザコン夫・俊平、前作『ハピネス』では3歳だったのが、
5歳になった娘・花奈との3人での生活。
やっと帰ってきたのに、冒頭から夫とはすれ違いで喧嘩ばかり。
せっかく離婚の危機は免れたのに。

子どもの進学や環境のことなど、考え方が全然違うので、口を開けば喧嘩。
このへんってリアルですよね。
ただ、根本的にこの夫婦は合っていない。
というか、有紗が幼いというか、色々と考えが浅い、甘い。

有紗って、あんまり自分ってものが無くて、流れに身を任せる性格なんですね。
なので、ちょっと強く引っ張ってくれる存在になびくんですよね。
美雨ママ洋子もそう、高梨ともそう。
何やってんだ!と怒りたくなるんですが、
これが結構自分にも当てはまる部分があるんですよね。
さすがに不倫しようとは思いませんが。

美雨ママ・洋子

同じ幼稚園に通う美雨ちゃんのママ・洋子さん、
相変わらず、いぶパパことハルと不倫続行中。
強い。
しまいには妹さんに美雨ちゃんをみさせるのも拒否され、
家に放置して飲みに出てくる始末。
自分の幸せの為に生き過ぎだろう、と思う。
親としての責任ってないのかしら。

離婚して親権は元夫に取られる、ってそら当然でしょ。

で、結局不倫相手と結婚するとはいえ、子どもを身ごもって、
この子のことも幸せに育てる気ってあるのか?
「江東区の土屋アンナ」って例えがアイタタタ…、なんですけど。

前作に出てきた、居酒屋をやっている同級生とくっつけばいいのに、と個人的には思います。

ママ友

真恋(まこ)ママ、芽玖(めぐ)ママは相変わらずの存在。
いぶママと仲良くはしつつ、内心では見下していて、前作でのパワーバランスというか、カースト制は完全に崩壊。
いぶママはいぶママで自分のセレクトショップをオープン。
第2の人生を模索、挑戦していて、不倫されても、
ただでは起き上がらない。やっぱ恐いわ、この人。

不倫相手・高梨の妻

高梨の妻はバリバリのキャリアウーマン。
しっかりしている方なのに、夫がクソ浮気野郎で本当に可哀想。
過去の浮気で精神病っぽいし、ただただ可哀想。
これも『昼顔』みたい。あの奥さんも超可哀想だった。

高梨の存在と不信感

今までスマホを子どもに自由に触らせていたのに、
高梨と連絡をとるようになってから、触らせないように、って怪し過ぎる!

ただ、夫の俊平は俊平で、妻にそこまで興味がないので浮気を疑うことは無し。
だから余計にエスカレートしていく有紗の不倫関係。
有紗と高梨の不倫関係って、当事者たちはキャッキャウフフしていて
幸せなのかもしれないけれど、傍から見ればイライラしかないんですよね。
自分の子どもそっちのけで楽しんでいて周りが見えていない。

高梨の存在が全ての元凶であり、
私的には悪。
こういう男が世に存在していて欲しくない。
有紗視点で話が進むからイケメン化されているけれど、
こんなだらしのない人、イケメンでもなんでもない。

明らかに有紗と高梨の二人は間違ったことをしているし、
間違った方向へ進んでいる。
しかも、狭い視野でしか見られてないんですよね。
だから高梨の奥さんにも怪しまれる。

子どもの存在が大事、といいつつ、本当か?と首をひねることばかり。
この人たちにとっての子どもってファッションアイテムだったり、
ペットに近い存在な気がします。
本当に大事なら、子どもを大切にしているエピソードが
あってもいいと思いますが、特にそんな描写は無し。

だって5歳の子を一人置いて浮気相手に会いに行くんですよ?そんなの考えられます?
しかもママ友と飲みに行くって理由で。
夫は何故それでOKできるのか。
パートナーに、子どもに、親に、姑に、と周りへと嘘をつけるのがすごい。
個人的には意味不明。

だったら潔く美雨ママみたいに親権を渡して、
というか子どもを取られてでも離婚して、
いぶパパにも離婚させて再婚している方が人間として立派だと思うんですよね。
正々堂々だと思うんですよね。

ただ、実際に自分が有紗の立場だったら、
やっぱりどっちつかずでだらだらしてしまいそう。
だからイライラしながらも読んでしまう。
嫌だけど共感できてしまう。

おわりに

『ハピネス』と比べると評価が割れている作品ですが、
妙にリアルなところが私は好きです。
前作『ハピネス』と一緒に読んで楽しんで欲しい作品です。

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