タイトル:世にも奇妙な君物語
著者:朝井リョウ
出版社:講談社
出版:2015年(単行本)
ページ数:336ページ(文庫版)
『世にも奇妙な君物語』
『世にも奇妙な君物語』あらすじ
異様な世界観。
引用元:講談社BOOK倶楽部
複数の伏線。
先の読めない展開。
想像を超えた結末と、それに続く恐怖。
もしこれらが好物でしたら、これはあなたのための物語です。
待ち受ける「意外な真相」に、心の準備をお願いします。
各話読み味は異なりますが、決して最後まで気を抜かずに――。
では始めましょう。朝井版「世にも奇妙な物語」。
『世にも奇妙な君物語』感想
読んだきっかけ
小説を読み始めた頃、
どんな作品が面白いのか、
いろんな小説レビュー系のサイトを見ていたのですが、
よくおすすめされていたのがこの『世にも奇妙な君物語』でした。
ずっと気になっていたものの、
買う、読むまでいかなかったのですが、
ついに「買っちゃえ!」と購入に至り、
すぐに読み終わっちゃいました。
結果、各所でおすすめされているだけあって、
間違いない作品でした。
本当に『世にも』だ!
気付けばドラマ『世にも奇妙な物語』を観た後と同じ気分。
しかも、最近の『世にも』ではなく、
私が小学生~中学生くらいの多感な時期に観ていた時代の『世にも』。
※以下、ネタバレを含みます。
第1話『シェアハウさない』
いかにも訳ありな感じのシェアハウスに潜入する記者の話。
シェアハウスがテーマの小説となると、
吉田修一さんの『パレード』を思い出しました。
『パレード』を読んだ時とはまた違う衝撃が最後にあり、
ゾッとしました。
というか、こんな猟奇的な人ばかり集まったシェアハウス、
怖すぎます!
しかも、全員が犯罪者と分かって生活しているっていうのがおぞましいです。
第2話『リア充裁判』
いかにも今風な話。
リア充ではない私には少し凹む話。
別にリア充じゃなくてもいいじゃん!(いいよね!)
第3話『立て! 金次郎』
元幼稚園教諭として読むと、
全然幼稚園というものが分かっていない!と
憤怒したくなる内容ではありました。
というのも、
子どもの存在が物でしかないんですよね。
ちなみに、東野圭吾さんの『パラドックス13』でも感じました。
小さい子どもの存在って、
足かせや物的な存在で描かれると、
なんかさみしくなるんですよね。
園児のことを呼び捨てにする幼稚園教諭はNGです。
保護者への対応もなめています。
幼稚園教諭のイメージって、
子どもと遊ぶのが仕事…、
ではないんですよね。
保護者より大切な大切なお子様を預かってお給料を頂いているんです。
ここまであからさまに優劣つけるのは間違っていますが。
そこは分かって描けているのは良かったです。
園児の活躍をランダムで割り振ってくれるようなソフト、
たしかにあれば便利ですね。
何度も調整は必要ですけど、
全員が輝けるって意識は素敵。
第4話『13.5文字しか集中して読めな』
この話がマイベスト。
最後、追い込まれたまま終わるのが
私の中の『世にも』感に合っていて面白かったです。
自分がしてきたことがブーメランとなって返ってくる。
小学3年生の息子が怖過ぎます!
というか、小学校の先生、
こんな内容の紙、
しかも参観日に貼りだしたらダメでしょ!
第5話『脇役バトルロワイアル』
この作品も『世にも』らしい感じがして良かったです。
ドラマ『世にも』でも、
最後はほっこり系で終わることが多かったと記憶しています。
まさに、そんなほっこり、
なんだか優しい気分になれます。
実在する俳優さんの名前をもじったキャラクターたち。
なので、頭の中で映像化しやすかったです。
おわりに
映像化するのを前提に描かれた短編らしく、
『世にも』感満載でした。
昔、怖がりながらもわくわく楽しみに観ていた『世にも』の世界観を
小説でも読めるって不思議な気分でした。
他の方が書いた『世にも』風な短編集があれば読んでみたいです。
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