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【小説】『R帝国』中村文則 / あらすじ&感想

【小説】 『R帝国』 中村文則 あらすじ&感想
Haru
Haru

〈作品情報〉
タイトル:R帝国

著者:中村文則

出版社:中央公論新社

出版年:2017年(単行本)
ページ数:384ページ(文庫本)

『R帝国』

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『R帝国』あらすじ

国家を支配する”党”と、
謎の組織「L」が存在するR帝国。

戦争が始まり、やがて世界は思わぬ方向へと暴走していく。

世界の真実を炙り出す驚愕の物語。

引用元:中央公論新社

『R帝国』感想

きっかけ(思い出)

朝、目が覚めると戦争が始まっていた。

P.9「第一部」より

冒頭の一文です。

同じように、始まって早々に戦争がはじまっている作品として、
三崎亜記さん『となり町戦争』があります。

私が「読書を趣味にしよう!」と思い立ち、
本屋さんで面白そうと思い購入した思い出の作品です。

今から10年くらい前に買いました。

が、結果的に言うと、
当時は最後まで読みきれませんでした。

もっとヒロイックな戦争系の話と思いきや、
結構恋愛的な要素が強く、
思っていた話と違い過ぎ、途中で読むのをやめてしまいました。

そこから読書から疎遠になりました。

そして再度、読書をするようになったのはそこから5、6年先です。
そこでやっとこの作品を読み切りました。
読み切った結果、「合わない」と思いました。

自分に合う作品を見つけられると読書の楽しさって
倍増しますし、もっと読みたい!と思えるので、
まずは自分に合う作品を見つけたいですよね。

戦争もの?

戦争ものの作品かと思いきや、
そこがメインじゃないんですよね。

日本に似たR帝国という架空の国が舞台です。

ですが、実際に著者の中村文則さんが日本を感じている違和感を
昇華している作品なのかな、と感じました。

R帝国に攻めてきたY宗国の女性兵士の言葉、

いざという時、お前たちの国は、個人を見捨てる傾向がある
(中略)
お前たちの国の国家観は、実は発展途上に近い。

P.97「第一部」より

「安い国、日本」として近隣の国々より追い抜かれてつつある昨今の日本。
確かに発展途上国へと落ちていっている感をひしひしと感じます。

そしてR国と同じく日本でも報道・表現の自由って
実質あってないようなものなのかな、と思いました。

2023年のことで考えれば、ジャニーズ性加害問題。
今まで噂レベルでは知っていたものの、
ずっとグレーゾーンのままだった事。

最近では吉本興業・松本人志問題など。

この作品は日本の未来への警告なんじゃないか、と思います。

村上龍さんの『希望の国のエクソダス』を読んだ時の感覚に似ています。
暗号通貨が以後こんなに広がって来るとは!
さすが村上龍先生!という作品でした。

中村文則さんの『教団X』でも感じましたが、
社会派×エンタメな作品の上手さがすごい。

HP(スマホ)

この作品の中に出てくるHPという電子機器。

スマホの延長線上のアイテムで、
AI搭載で、今で言うとChatGPTなどのAIが搭載されているのが
標準のスマホ、という感じ。

この世界の人たちもですが、
いわゆる「スマホ脳」という状態。
いずれこうなっていくんだろうな、
と思いました。

機械に、というかもっと大きいなものに支配されない、
自分の考えを持っていないといけないな、と感じました。

おわりに

私としては、
第2次世界大戦など、現実で起きたことが
この作品の中では架空の小説して描かれているのですが、
戦争が終わった理由に
「え?そうなの?」という驚きがありました。

子どもの頃に学校で習ったことって、
はたしてどの程度正しいのか、
今までの常識を疑わないといけないのかな、と思いました。

小説なのに、自己啓発書のような要素があって、
読み終わった後に考えさせられる作品でした。

この記事を書いた人
みての

年間100作品くらい本を読むサラリーマンブロガー
暇があれば書店・古本店へ行く為、読むペースより買う本の方が圧倒的に多い供給過多状態。
それでも本を買うのが至高過ぎて止まりません。
すごい勢いで積読本が増えていきます。誰か助けてください。

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