今回は
『「象の消滅」 短篇選集 1980-1991』より、
『踊る小人』を紹介します。
『踊る小人』
(『「象の消滅」 短篇選集 1980-1991』収録)
『踊る小人』あらすじ
夢の中で小人が出てきて、
踊りませんかと言った。
「僕」は疲れていたので申し出を断ると、
小人はレコードに合わせて一人で踊った。
それから「僕」に身の上話を語った。小人は南に来て踊り手になった。
それが評判となり皇帝の前でも踊った。
しかし革命が起って皇帝が亡くなると町を追われ、
今は森の中で暮らしている、
とのことだった。「僕」は象を作る工場に勤めている。
引用元:Wikipedia
職場の相棒に夢の話をすると
「踊りのうまい小人の話なら、
第六行程の植毛工のじいさんに会って話を聞いてみる方がよかろうよ」
とすすめられる。
終業後、
「僕」が生まれる前からある、
とてもとても古い酒場で老人と会った。
『踊る小人』ネタバレ感想
タイトルについて思うこと
タイトルに「小人」って入っていたら、
結構可愛らしいイメージで私は考えちゃいますよね。
しかも、踊りが得意・上手となればなおさらです。
ですが、ある種どんでん返しな話に衝撃を受けました。
小人のイメージ
私の中での小人のイメージって、
なんとなく、赤い帽子をかぶっていて、
可愛らしい西洋風な小さなキャラクターでした。
そんな可愛らしい小人が出てくるってことは、
のほほんとした話なのかな、と思いました。
また、
レコードを適当に他のレコードのジャケットに入れる、
という行為がとても共感できました。
私の場合、CDやプレイステーションのゲームCDを
別のケースに入れて、いざ出そうとすると、
全然違うディスクが入っていて途方に暮れたことが何度もあります。
そんな自分の10代を思い出しました。
主人公の仕事
というか、小人よりも、
主人公の仕事が特殊過ぎます!
象を作る工場に勤めていて、
今月は象の耳担当。
なにそれ!?
世界観が独特過ぎて、
小人のファンタジー感とのバランスがめちゃくちゃ。
不穏さ
踊りが上手な小人と“僕”が「契約」してしまいます。
女の子を口説くために、
小人に体を乗っ取らせる「契約」。
この辺から若干、
不穏な感じがしました。
そして、その予感は的中してしまいます。
女の子をなんとかものにできたと思ったら
まさかのホラー&グロテスクな展開。
こんなのってあり?ってくらい、
急にホラー。
なんとか小人には勝ち、乗っ取られずに済み、
ホッしたものの、まさかの指名手配犯に。
後半の怒涛の展開がすごい。
タイトル詐欺でしょ!と思いました。
おわりに
最後、めちゃくちゃ怖かった〜!
というのが1番の感想です。
オチがあまり無い村上春樹作品を期待していると、
怖すぎてトラウマになりそうな作品です。
私としては今までにない村上春樹作品に出会えて嬉しかったです。
ただ、グロテスクな描写は苦手なのでやめてほしいですかね。
よくよく考えると他の作品にもこういうおぞましさのある展開がありましたね。
個人的には久々だったので衝撃でした。
海外で映画化していてもおかしくない雰囲気の作品です。
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