こんにちは、みてのです。
今回は『新潮』2016年9月号より、
信仰と家族愛、そして人間の心の闇を描いた重厚な作品をご紹介します!
『みずち』概要
『みずち』
(新潮 2016年9月号掲載)
タイトル:みずち
著者:高尾長良
出版社:新潮社
発売日:2016年8月6日
あらすじ
信仰に溺れた母。般若の面を求める妻。おれは「女」を捉えきれない――。新鋭の飛翔作!
引用元:新潮社
病院勤務の一井は、母を思い出し都会の教会を訪れ、母の言葉と自身の過去を振り返る。
主な登場人物
一井(いちい)…病院勤務の男。
扶実(ふみ)…一井の妻。
古府…教会の神父。
『みずち』感想
読んだきっかけ
舞城王太郎さんの作品が載っている文芸誌『新潮』に掲載されていたので読んでみた。
時代設定がマジでわからん
ある夫婦の日常を描いた作品。といっても山あり谷ありではあるんだけど大きな展開というほどではない。なので私にはとても難しいと感じた。
口調や文章の雰囲気から、大正〜昭和初期あたりが舞台なのかと思って読んでいた。2024年4月現在36歳の私からすると祖父母の若かりし時代かな、と思っていたが普通に携帯電話が出てくる(ただしスマホとかの記述はない)ので全然違った。
だとすると、90年代〜今現在くらいなのかな?なんか昔っぽいんだよな。夫婦感も。その空気感がずっと捉えられないまま読み終わってしまった。
妻の扶実(ふみ)の実家が“福知山近くの農家”って記述などもなんか昔の田舎感があるんだけど、実際、今でも農家さんたちは存在するので全然時代設定が読み解けなかった。
舞台が京都なので主人公たちが関西弁なのも、より古さを感じるのかもしれない。
教会
この作品の鍵となるものが“教会”であることは間違いない。ただ、私にキリスト教についての教養がなさすぎて全くわからなかった。しかし、聖書について多少は興味を持った。簡単にでもいつか学んではみたい。
全体的な暗さ
はじめから終わりまで、ずっと暗さを感じた。ホラー的な暗さでなく、なんていうか、生まれながらに背負った(そしてある種の天性ともいえるくらい)運命的な暗さ。読んでいて楽しさよりは辛さを感じた。私の願いとしては、せめて妻・扶実さんだけはその後、幸せになって欲しいなと思うかな。
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