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【小説】『いつかの人質』芦沢央 / あらすじ&感想

みての
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『いつかの人質』は、注目作家である芦沢央が描くサスペンス・ミステリーです。
盲目の少女が二度にわたって誘拐されるという衝撃的なストーリーは、多くの読者の心をつかんで離しません。
この物語は、一度目の誘拐事件とその後の出来事を背景に、複雑な人間関係とミステリーが絡み合うスリリングな展開が特徴です。

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『いつかの人質』概要

『いつかの人質』

いつかの人質 (角川文庫)

タイトル:いつかの人質
著者:芦沢央
出版社:KADOKAWA
単行本:2015年12月26日 発売
文庫本:2018年2月24日 発売

あらすじ

盲目の少女はなぜ二度も誘拐されたのか。注目作家のサスペンス・ミステリー

宮下愛子は幼いころ、ショッピングモールで母親が目を離したわずかなすきに連れ去られる。それは偶発的に起きた事件だったが、両親の元に戻ってきた愛子は失明していた。12年後、彼女は再び何者かによって誘拐される。一体誰が? 何の目的で? 一方、人気漫画家の江間礼遠は突然失踪した妻、優奈の行方を必死に探していた。優奈は12年前に起きた事件の加害者の娘だった。長い歳月を経て再び起きた、「被害者」と「加害者」の事件。偶然か、それとも二度目の誘拐に優奈は関わっているのか。急展開する圧巻のラスト35P! 文庫化に当たり、単行本から改稿されたシーンも。大注目作家のサスペンス・ミステリー。(解説:瀧井朝世)

引用元:Amazon

『いつかの人質』感想

二度の誘拐という衝撃

物語の中心にあるのは、盲目の少女・宮下愛子が二度にわたって誘拐されるというショッキングな設定です。最初の誘拐は偶発的なものでしたが、愛子はその事件で失明します。そして12年後、再び何者かによって誘拐されるという展開は、読者に強い衝撃と興味を抱かせます。この二度目の誘拐の目的は何なのか、誰が関与しているのかというミステリー要素が、物語を一層引き立てています。

複雑なキャラクター関係

『いつかの人質』では、キャラクターたちの複雑な関係性が物語の核心を成しています。愛子の家族、彼女の友人たち、そして12年前の事件の加害者の娘である人気漫画家・江間礼遠の妻、優奈。この登場人物たちの関係が、二つの誘拐事件を通じて緻密に描かれています。特に、加害者の娘という立場にある優奈が物語にどう絡んでくるのかが大きな見どころです。

リアルで緊迫感のある描写

芦沢央の描写は非常にリアルで、読者を物語の中に引き込みます。愛子の視点から描かれる恐怖や不安、そして彼女を取り巻く人々の感情が細かく描写されており、読者は一瞬たりとも目を離せません。ライブ会場での愛子と友人たちとのやり取りなど、現代の子どもたちの関係性をリアルに反映したシーンも見どころの一つです。

ミステリー要素の巧みな配置

この作品は、単なる誘拐事件の物語ではなく、巧妙に配置されたミステリー要素が読者を飽きさせません。愛子の失踪、優奈の失踪、そしてそれぞれの背景に隠された秘密が少しずつ明かされていく展開は、読者に次々と新たな疑問と期待をもたらします。また、文庫版と単行本では結末が異なるという点も、読者の興味を引き立てます。

おわりに

『いつかの人質』は、芦沢央の卓越した筆力と、緻密に練られたストーリーが融合した傑作です。二度の誘拐事件を通じて描かれる人間関係の複雑さや、ミステリー要素の巧みな配置が、読者を最後まで飽きさせません。特に、愛子というキャラクターの視点から描かれる物語は、読者に強い共感と感動を与えます。

また、芦沢央の他の作品と同様に、『いつかの人質』も社会の暗部や人間の心理に鋭く迫る内容となっています。彼女の描くキャラクターたちは、一見すると普通の人々ですが、その内面には複雑な感情や過去が隠されています。これが、読者にとって物語を一層リアルで深いものにしているのです。

この作品を読んで感じたのは、愛子というキャラクターの強さと、彼女を取り巻く環境の厳しさです。二度も誘拐されるという過酷な運命に立ち向かう愛子の姿は、読者に強い印象を与えます。また、江間夫妻や愛子の友人たちの行動や感情も、物語の中で重要な役割を果たしています。

総じて、『いつかの人質』は、サスペンス・ミステリーの枠を超えた人間ドラマであり、読者に多くのことを考えさせる作品です。芦沢央のファンはもちろん、サスペンス・ミステリーが好きな方にもぜひお勧めしたい一冊です。

この記事を書いた人
みての

年間100作品くらい本を読むサラリーマンブロガー
暇があれば書店・古本店へ行く為、読むペースより買う本の方が圧倒的に多い供給過多状態。
それでも本を買うのが至高過ぎて止まりません。
すごい勢いで積読本が増えていきます。誰か助けてください。

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