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【小説】『アイドル』仙田学 / あらすじ&感想

【小説】『アイドル』仙田学 / あらすじ&感想
みての
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『文藝2019年夏季号』に収録されているこの作品は、“一億総借金時代を背景に、地下アイドルとそのファンの生活を描いた新ヤンデレ系文学”です。リストラにあった主人公・昌美が、家族に内緒で巣鴨☆わがままジュニアスクール(グループ名)のアイドル「しらたま」に夢中になる姿が描かれています。

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『アイドル』概要

『アイドル』
(『文藝 2019年夏季号』所収)

文藝 2019年夏季号

タイトル:アイドル(『文藝 2019年夏季号』所収作)
著者:仙田学
出版社:河出書房新社

ブラック企業でリストラにあった昌美は、家族に内緒で巣鴨☆わがままジュニアスクールのしらたまに入れ込むが……。一億総借金時代の新ヤンデレ系文学!

引用元:河出書房新社 X(Twitter)

『アイドル』感想

地下アイドルのリアルな世界

『アイドル』の最大の見どころは、地下アイドルという独特な世界をリアルに描いている点です。巣鴨☆わがままジュニアスクールの持ち曲が少ないことや、アイドル同士があまり仲良くない点など、現実のアイドル業界の厳しさがよく表現されています。特に、アイドル業の後に一般人に戻る瞬間の描写は、非常に切ない気持ちにさせられます。現実のアイドルも、ステージとプライベートでは全く異なる姿なんだろうな、と思いました。

しらたまの生活の苦境

しらたまが人に言えないアルバイトや、コンビニのおでんの汁をもらう場面は、彼女の苦境を象徴しています。アイドルでありながらも、その生活は決して華やかではなく、むしろ泥臭い現実が描かれています。ファンとしても、その現実を知りつつ応援し続ける姿は、何とも言えない切なさとともに深い共感を呼びます。

地下アイドルとファンの関係

物語を通して描かれる地下アイドルとファンの関係は非常に興味深いです。ファンがアイドルの生活を支え、アイドルがファンに希望を与えるという関係は、非常に密接でありながらも切ないものです。グッズ購入やイベント参加が、直にアイドルの生活に影響を与えるというリアルな描写は、ファンとしての責任感とやりがいを感じさせますね。

終盤の急展開と変身譚

物語の終盤では、一種の変身譚のような展開になります。吉村萬壱さんの『臣女』や本谷有希子さんの『異類婚姻譚』を思い出しました。リアルな描写が続いた後の急展開には少し驚かされましたが、それもまたこの作品の魅力の一部だと感じました。リアリティとファンタジーの絶妙なバランスが、『アイドル』の独特な世界観を作り上げています。

おわりに

『アイドル』は、地下アイドルとそのファンの現実を描いたリアルな物語です。昌美としらたまの関係を通じて、アイドルという存在の裏にある苦労や努力、そしてファンとの深い絆が描かれています。現実とファンタジーが交錯する終盤の展開も見逃せません。地下アイドルの世界に興味がある方や、苦しい人間ドラマを楽しみたい方にはぜひおすすめしたい一冊です。

この記事を書いた人
みての

年間100作品くらい本を読むサラリーマンブロガー
暇があれば書店・古本店へ行く為、読むペースより買う本の方が圧倒的に多い供給過多状態。
それでも本を買うのが至高過ぎて止まりません。
すごい勢いで積読本が増えていきます。誰か助けてください。

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