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【小説】『本日はどうされました?』加藤元 / あらすじ&感想

【本】『本日はどうされました?』加藤元 / あらすじ&感想
みての
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『本日はどうされました?』は、加藤元さんによるミステリー小説です。
この作品は、病院内での不審な連続死事件をテーマに、フリーの週刊誌記者が独自の調査を進める中で、人間の裏表や悪意を描いていて、「何が真実で何が嘘なのか」という深い問いを投げかけられます。

『本日はどうされました?』

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『本日はどうされました?』あらすじ

誰に聞いても、あの看護師があやしいと言う。だったら、なぜ──。
「問答無用で新たな代表作をものにしたと言って良いだろう」ブックジャーナリスト内田剛氏、絶賛!!
感動作を書き続けた著者が、人間の悪意をあぶり出す。いきなり文庫!

E病院で入院患者の連続不審死が発生。噂を聞きつけた週刊誌のフリー記者は、独自に調査を始める。同僚への聞き込みの結果、疑いは一人の女性看護師に。コミュニケーションが苦手で不器用。院内では問題児だった彼女。だが、証言者たちの供述に記者は違和感を覚える……。誰もが表と裏の顔を持っている。何が真実で何が噓なのか。集団社会に潜む人間の悪意を描く長編ミステリー。

引用元:集英社

『本日はどうされました?』感想

緻密なストーリーテリング

『本日はどうされました?』の見どころは、まずその緻密なストーリーテリングにあります。物語はE病院で起こる不審死事件から始まり、フリー記者が真相を追求していく過程で展開されます。特に注目すべきは、看護師たちの複雑な人間関係と、その中で浮かび上がる一人の看護師への疑惑です。コミュニケーションが苦手で不器用な彼女は、院内で問題児として扱われていますが、その背景には何があるのか?という疑問が読者を引き込みます。

多角的な視点で描かれる物語

この作品のポイントは、各登場人物の視点を通じて物語が語られるという点です。記者が行うインタビュー形式で、元看護師仲間、患者、友人、身内など、さまざまな関係者たちの主観的な証言が織り交ぜられます。この手法により、一つの出来事が多角的に描かれ、読者は徐々に真実に迫ることができます。また、登場人物の証言が時折脱線し、自分の経験や憶測を中心に語ることで、物語は一層リアルに感じられます。

シンプルな仕掛けと現実とのリンク

『本日はどうされました?』を読んでまず感じたのは、その表紙の印象です。着用しているマスクが表裏逆というディテールから、コロナ前の作品ならではの時代感が漂います。物語の核心である入院患者の連続不審死に関しては、特にグロテスクな描写がないため、ホラーが苦手な人でも安心して読めます。作品全体としては、純粋にミステリーとして楽しめる内容でした。

物語の仕掛けはシンプルで、途中で「こういうことか」と気付く部分もありますが、それがかえって読みやすさと面白さを引き立てています。後半は一気に読み進めることができました。この作品の怖さは、事件そのものの残酷さよりも、現実にも存在しそうな看護師像にあります。「大口病院連続点滴中毒死事件」のような現実の事件を連想させ、現実社会とのリンクが作品に一層の深みを与えています。

おわりに

『本日はどうされました?』は、加藤元さんの新たな代表作として高く評価されています。人間の悪意や裏表を描きながらも、ミステリーとしての緊張感と面白さを保っています。病院内の不審死事件というテーマを通じて、社会に潜む人間の悪意やコミュニケーションの難しさを浮き彫りにしています。

今後、自分が老いたときにどんな看護師に診てもらうかという不安を感じさせる一方で、優しさや人情に溢れる看護師さんも存在するはずという希望も描かれています。この作品を通じて、私たちが普段見過ごしがちな人間関係や社会の一面に目を向ける機会となるでしょう。

『本日はどうされました?』は、ミステリー好きだけでなく、人間ドラマを深く味わいたい読者にもおすすめの一冊です。加藤元さんの他の作品もぜひ手に取ってみてください。

この記事を書いた人
みての

年間100作品くらい本を読むサラリーマンブロガー
暇があれば書店・古本店へ行く為、読むペースより買う本の方が圧倒的に多い供給過多状態。
それでも本を買うのが至高過ぎて止まりません。
すごい勢いで積読本が増えていきます。誰か助けてください。

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