あなたは、この制度を肯定する? それとも否定する?
「殺人出産」
読む者に深い問いかけを投げかける、問題作をご紹介します。
『殺人出産』概要
『殺人出産』
タイトル:殺人出産
著者:村田沙耶香
出版社:講談社
単行本:2014年07月16日発売
文庫本:2016年08月11日発売
読んだ本:文庫本 2016年10月20日…第3刷発行分
あらすじ
今から100年前、殺人は悪だった。10人産んだら、1人殺せる。命を奪う者が命を造る「殺人出産システム」によって人口を保つ日本。会社員の育子には十代で「産み人」となった姉がいた。蝉の声が響く夏、姉の10人目の出産が迫る。未来に命を繋ぐのは彼女の殺意。昨日の常識は、ある日突然変化する。
引用元:講談社BOOK倶楽部
主な登場人物
育子…都内でOLをしている主人公。
環(たまき)…主人公の姉で、産み人として入院中。
早紀子…主人公の同僚。ルドベキア会の会員。
『殺人出産』感想
読んだきっかけ
村田沙耶香さんに興味を持ったのはYouTubeチャンネル『ほんタメ』の齋藤明里さんがきっかけ。ですが、元々『コンビニ人間』は読んでいたので、面白さがお墨付きだったというのもあります。他にも『地球人間』『丸の内魔法少女ミラクリーナ』も面白かったので村田沙耶香さんの作品は全部読みたいと思っています。
殺人×出産!?
あらすじにもある通り、“10人産んだら、1人殺せる”世界。すごい!お手軽に殺人できるじゃん!と思うかも知れませんがよく考えてください。10人生むんですよ?1回の出産でさえ命がけなんですよ?それを10回ですよ?語彙力なくてごめんなんだけどヤバくない?あとちなみに言うと、男性でも妊娠できます、人工子宮で。そしてもっと深く言うと、10人出産するまでにほとんどの方が亡くなります。殺人果たせずでず。それでも人を殺したいですか?私には絶対無理。でも下手したら殺される可能性がある。普段から恨まれないような生き方をしておかないといつ何時自分がターゲットとなるか……生について考えさせられるお話。
狂ってる
そんな世界観なので、殺人を果たしたい人(産み人)たちやその周りにいる人たちって、控えめに言っても「狂って」ます。殺人の理由も人それぞれとはいえ、「なんで?」が多すぎます。過去の出来事がきっかけならまあ相当な恨みがあったんだな、と理解できます。でも「なんで?」って理由だど理解は追いつかないし、殺される当事者も「なんで?」だとものすごく不穏。全然関係ないけど、アンドレVS前田日明や、北尾VSジョン・テンタなどプロレスの不穏試合を思い出しました。
おわりに・SNS「Bluesky」投稿
私の読んだ直後の読了感想Postを置いておきます。
『殺人出産』村田沙耶香 #読了
引用元:Bluesky
はじめから終わりまで、ずっとヤバい話だった。これが純文学でなくエンタメ作品であったなら、もっと違う展開になっただろうな、と思う。とにかくヤバい。こんな世の中でなくて良かったが、100年後の未来はこんな倫理観になっていないとは言い切れないのもまた怖いところ。
“殺人出産制度”、全く憧れないけどこれで救われる人もいるんだろうなと思う。恨まれないように生きないとな。
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