映画『SEE HEAR LOVE 見えなくても聞こえなくても愛してる』 / 視覚と聴覚を超えた心の交流

『SEE HEAR LOVE 見えなくても聞こえなくても愛してる』概要

『SEE HEAR LOVE 見えなくても聞こえなくても愛してる』

タイトル：SEE HEAR LOVE 見えなくても聞こえなくても愛してる
公開年：2023年
監督：イ・ジェハン
出演：山下智久、新木優子、高杉真宙、山本舞香、深水元基、菅原大吉、山口紗弥加

あらすじ

人気漫画家の泉本真治（山下智久）は、自身の作品の映画化が決まり喜びに沸いていました。しかし、突如として視力を失う病に侵されてしまいます。連載も休載を余儀なくされ、一緒に暮らす祖母の世話も困難になっていく真治。絶望の淵に立たされた彼を救ったのは、彼の漫画のファンで生まれつき耳が聞こえない相田響（新木優子）でした。

言葉を交わすことができない二人は、独自のコミュニケーション方法を見出しながら、徐々に心を通わせていきます。しかし、真治の病状の進行や、響の過去の恋愛トラウマなど、二人の関係を脅かす障害が次々と現れます。視覚と聴覚という、人間にとって最も重要な感覚を失った二人が、互いを理解し、愛し合うことができるのか。その答えを観る者に問いかける物語が展開されます。

『SEE HEAR LOVE 見えなくても聞こえなくても愛してる』感想

山下智久さんと新木優子さんの圧倒的な演技力

本作の最大の魅力は、主演を務める山下智久さんと新木優子さんの演技です。山下さんは視力を失っていく過程や、それに伴う不安や葛藤を繊細に表現し、観る者の心を掴みます。特に、目が見えなくなった後の身体の動きや表情の変化は見事で、役者としての実力を遺憾なく発揮しています。

一方、新木優子さんは聴覚障害者役を好演しています。手話や表情、身振りだけで感情を伝える難しい役どころを自然な演技で魅せます。二人の化学反応は抜群で、言葉を交わさずとも通じ合う二人の関係性がスクリーンを通して伝わってきます。

障害を抱える人々の日常を丁寧に描く

本作は視覚障害者と聴覚障害者の日常生活を丁寧に描いている点も評価できます。真治が点字を学ぶ過程や、響が手話を使ってコミュニケーションを取る様子など、障害を持つ人々の日常生活がリアルに描かれています。これらの描写は、障害に対する理解を深める一助となります。

同時に、障害を持つ人々も恋愛し、悩み、喜び、怒るという当たり前の感情を持つ人間であることが自然な形で描き出されています。この点において、本作は単なるラブストーリーを超えた社会的意義も持っています。

美しい映像美と心に響く音楽

イ・ジェハン監督の手腕が光る美しい映像美も、本作の大きな魅力です。東京の街並みや自然風景が主人公たちの心情を反映するかのように描かれています。特に、真治が視力を失う前に見た最後の景色や、響が感じる音のない世界の表現は印象的です。

また、山下智久さんが歌う主題歌「I See You」も作品全体の雰囲気を見事に表現しています。視覚と聴覚を失った二人が互いの存在を感じ取る様子が歌詞に込められ、物語に深みを与えています。

おわりに

『SEE HEAR LOVE 見えなくても聞こえなくても愛してる』は障害を題材にしながらも決して重苦しくならない軽やかさがあります。美男美女による王道ラブストーリーとして楽しめますが、人間の多様性やコミュニケーションについて考えさせられる奥深さも持ち合わせています。

山下智久さんのかっこよさや新木優子さんの魅力的な髪型など、視覚的な楽しみも満載です。エンターテインメント作品としても完成度が高く、多くの方々に受け入れられる作品となっています。

障害について理解を深めたい方はもちろん、純粋に心温まるラブストーリーをご覧になりたい方にもおすすめです。視覚と聴覚を超えた心と心の交流が描かれた本作は、新たな気づきと感動を与えてくれることでしょう。