PR

【小説】『息のかたち』いしいしんじ / あらすじ&感想

【小説】『息のかたち』いしいしんじ / あらすじ&感想
みての
みての

いしいしんじさんの『息のかたち』は、コロナ禍という現代の特異な状況を背景に、人々の息や生命の躍動を描いた青春物語です。

主人公の高校生・夏実がひょんなことから「息」(の色)が見えるようになり、その特異な能力を通じて成長し、周囲の人々との関係を深めていく様子を描いています。

この作品は、読者に生きることの意味や人間関係の大切さを改めて考えさせる、素敵なお話です。

スポンサーリンク

『息のかたち』概要

『息のかたち』
(『群像 2020年8月号』所収)

群像 2020年 08 月号 [雑誌]

タイトル:息のかたち(『群像 2020年8月号』所収作)
著者:いしいしんじ
出版社:講談社
単行本:2024年7月25日 発売予定
読んだ本:群像 2020年8月号

あらすじ

ひょんなことからひとの「息」が見えるようになった京都の高校生・夏実の物語。

どんな世界になっても息づくいのちの躍動を描いた青春小説。

コロナウイルスという「目にめーへんややこしいもん」にも変えられないもの。
突然の休校や陸上大会の延期、急なモテへの戸惑い、そして受験と進路……
コロナ禍の「青春のかたち」を切り取った、待望の作品集。

息は、光は、そこにある。気に留めるか、留めないか、そのちがいがあるだけ。

引用元:Amazon

『息のかたち』ポイント・感想

息が見えるという特異な能力

物語は、夏実が金属バットの事故により、他人の吐息が見えるようになるという非現実的な能力を手に入れることから始まります。息が見えるという設定は、まるでファンタジーのようでありながら、非常にリアルな日常の中に溶け込んでいます。このユニークな能力を通じて、夏実は自分自身や周囲の人々の心の内側を覗くことができるようになり、成長していくのです。

コロナ禍の青春

『息のかたち』は、コロナ禍という特殊な時代背景を舞台にしています。突然の休校や陸上大会の延期、受験と進路への不安など、現実の高校生たちが直面した課題や悩みをリアルに描いています。この状況下で、夏実がどのように自分の進むべき道を見つけ、成長していくのかが大きな見どころです。

家族と師匠の存在

物語には、夏実の家族や呼吸の師匠である袋田が重要な役割を果たします。家族の中で唯一息が見える能力を持っていた夏実の父親との関係や、袋田から呼吸について学ぶことで得る新たな視点は、夏実の成長に大きな影響を与えます。これらのキャラクターとの交流を通じて、夏実は人間関係の深さや大切さを学んでいきます。

心温まるストーリー

『息のかたち』は、読者にほっこりとした気持ちを与える心温まるストーリーです。人の息が見えるという一見奇妙な設定ながらも、物語は非常に人間味に溢れています。夏実の成長と共に、読者もまた彼女の目を通して世界を新たに見つめ直すことができるでしょう。

感想

『息のかたち』を読んでいると、まるで頭の中で映像が浮かんでくるような感覚になります。特に夏実が初めて他人の息を見るシーンや、袋田から呼吸について教えを受ける場面は、漫画やアニメのように鮮やかで、まるで『ドラえもん』のひみつ道具のようです。

個人的に印象に残ったのは、袋田という呼吸の師匠から教えを受けるシーンです。私も読んでいる間に、「自分にもできないかな?」と呼吸の練習をしてみたくなりました。この作品は、そんな風に読者を引き込む力があります。

読後の感想としては、ほっこりとした気持ちになりました。人の吐息が見えるという設定は、ずっと続くと嫌かもしれませんが、ちょっと憧れる部分もあります。もしこの設定が恋愛物語だったら、また違った展開が広がると思います。例えば、好きな子の吐息の色がピンク色だったら素敵ですよね。私自身は紫色が好きなので、自分の吐息が紫色だったらいいなと思います。

また、この作品は2020年夏の作品なので、ファーストコロナ禍の時期のことを思い出しました。不織布マスクが店頭から消えて、100均で手ぬぐいを買ったり、晒を買って義母にミシンを借りて自分でマスクを作ったりしました。そんなことを思い出しながら読むと、さらに感慨深いです。

おわりに

いしいしんじさんの『息のかたち』は、コロナ禍という現代の特異な状況を背景に、人々の息や生命の躍動を描いた青春小説です。主人公の夏実がひょんなことから他人の息が見えるようになり、その特異な能力を通じて成長し、周囲の人々との関係を深めていく様子が描かれています。ぜひ一度手に取ってみてください。

この記事を書いた人
みての

年間100作品くらい本を読むサラリーマンブロガー
暇があれば書店・古本店へ行く為、読むペースより買う本の方が圧倒的に多い供給過多状態。
それでも本を買うのが至高過ぎて止まりません。
すごい勢いで積読本が増えていきます。誰か助けてください。

みてのをフォローする
小説
スポンサーリンク
みてのをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました