〈作品情報〉
タイトル:火花
著者:又吉直樹
出版社:文藝春秋
出版年:2015年(単行本)
ページ数:152ページ(単行本)
『火花』
『火花』あらすじ
笑いとは何か、人間とは何かを描ききったデビュー小説。第153回芥川賞受賞。
売れない芸人徳永は、熱海の花火大会で、師として仰ぐべき先輩神谷に電撃的に出会った。そのお笑い哲学に心酔して行動を共にしながら議論を続けるのだが、やがて二人は別の道を歩んでいくことになる。運命は二人をどこへ連れていくのか。
引用元:文藝春秋BOOKS
『火花』感想
タイトルの『火花』って
主人公・徳永のコンビ名「スパークス」に由来するとは思うのですが、
著者でありお笑い芸人のピース・又吉直樹の前のコンビ名「線香花火」から来ている…んですよね?
と思わずにはいられないです。
なぜなら、随所に又吉さん自身の経験・経歴を匂わせるところがあります。
お笑い芸人感
まず関西人。
しかも、東京に出てきている。
そしてさらに、東京の小さな芸能事務所。
これって東京吉本のことでは?
先輩芸人の神谷さんは大阪の大手事務所→大阪吉本
東京吉本の不遇さについて、
YouTubeで見聞きしたことがり、
大阪の吉本興業と比較すると、
東京吉本はお笑い賞レースが少ないなど、
お笑いに対して不利だと言われていました。
それを表現するのに小さな芸能事務所のお笑い部門としているのでは、
と思いました。
ファッション感
“リーバイス501”が出てくるって時点で、
もう古着好きなのは確定ですよね。
他にも“黒のジャックパーセル”。
コンバースのオールスターじゃなく、
ジャックパーセルを使うところがグッときますよね。
“コーデュロイパンツ”
古着好きは通りますよね。
私の場合はコーデュロイやベロアのテーラードジャケットが好きでした。
モヒカン頭のパンクス着用のライダースジャケットがコットン素材であることと同じくらい腑に落ちないのである。
P.72
これって伝わります?
ファッションについて1ミリも興味ない方には全く伝わらなそうな表現。
でもわかりみが深くて個人的には好きです。
私も高校~大学時代、
古着系ファッションに身を包んでいたので、
とても気持ちをくすぐられました。
実体験?
姉のピアノのエピソードなど、
自身の経験を元にしていそうでした。
父の口調が、
以前又吉さんのYouTube番組「渦」で語られていた父親の口調とそっくりなんですよ。
髪の毛を銀髪にしていたのも、
漫才コンビ・線香花火時代にそんな髪色にしていなかったっけ?
とうろ覚えですが体験談かな、と思いました。
サッカーの大阪選抜も又吉さん自身の経歴と重なります。
不器用な主人公・徳永の描き方が又吉さんぽいよな、
と思います。
また、そこに共感できる部分が多いにあるので
親近感が沸きます。
又吉さんが太宰治に自身を重ねたように、
私も又吉さんと重なりました。
先輩芸人あほんだら
神谷さん・大林さん
世間的に無名で芸人仲間からの悪名が高い。
おそらくモデルとなる先輩芸人さんがいたんだろうな、
と思っていたら実際にいました。
インタビュー記事
こういうどこにでも引っ張っていってくれる、
変わった・面白い先輩って面白いですよね。
私も大学時代のアルバイトの先輩がそんな感じだったので、
楽しく過ごせたことを思い出します。
神谷さんとのメールのやりとりのおふざけ感。
学生時代のメールってこんなんだったよな~、
と懐かしく感じました。
いつからだろう、
用事がある時にまじめな文章しか書かなくなったのは。
大人になったってことかしら?
おわりに
Netflixでドラマ化、
その後映画化もされいるので、
いずれ観てみたいです。
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