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【AIで】芥川龍之介『羅生門』現代語訳してみた④

下人は、首を縮めながら、山吹色の汗拭きに重ねた紺の襖の肩を高くして門の周りを見回した。雨風の心配のない、人目を気にしない、一晩快適に過ごせそうな場所があれば、そこでなんとかして夜を明かそうと思ったからだ。すると、幸い門の上の階段へ上る、幅の広い、これも赤く塗られた梯子が目に入った。上にいたとしても、どうせ死人ばかりだろう。下人はそこで、腰に下げた聖柄の太刀が鞘から外れないように気をつけながら、藁草履を履いた足を、その梯子の一番下の段に踏みかけた。

それから、しばらく後である。羅生門の階段の中程に、一人の男が、猫のように身を縮めて、息を殺しながら、上の様子を伺っていた。階段から差し込む火の光が、かすかに、その男の右の頬を濡らしている。短い髭の中に、赤く膿のある吹き出物のある頬だ。下人は最初から、この上にいる者は、死人ばかりだと高をくくっていた。しかし、階段を数段上って見ると、上では誰かが火を灯し、しかもその火をあちこちと動かしているようだ。この雨の夜に、この羅生門の上で、火を灯しているからは、どうせただの者ではない。

下人は、歩み音を慎んで、やっと急な階段を、一番上の段まで這うようにして登り詰めた。そして体をできるだけ平らにし、首をできるだけ前に出しながら、恐る恐る、階段の中をのぞいて見た。

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