映画『さがす』は、大阪の下町で暮らす父と娘の平穏な日常が一変する感動的なサスペンスドラマです。指名手配中の連続殺人犯を目撃したと話す父が突然姿を消し、孤独と不安に苛まれながらも必死に父を探す娘の姿を描いています。
今回は映画『さがす』のあらすじ、キャスト、見どころなどを詳しく紹介します。
『さがす』
あらすじ
『さがす』は、大阪の下町で平穏に暮らす中学生の娘・楓(伊東蒼)と、その父親・原田智(佐藤二朗)の物語です。ある日、智は楓に「指名手配中の連続殺人犯を見かけた。捕まえたら300万円もらえる」と冗談めかして話しますが、その翌朝、智は姿を消します。冗談だと思っていた楓は、一人残され、父を探し始めます。しかし、警察も大人の失踪は相手にせず、楓は孤独と不安に苛まれながらも手掛かりを追い求めます。やがて、日雇い現場で父の名前を見つけるものの、そこにいたのは全く知らない若い男(清水尋也)でした。失意の中、楓はその若い男が指名手配中の連続殺人犯であることを知り、父の行方を探る過酷な旅が始まります。
キャスト・スタッフ
主なキャスト
- 原田智(父):佐藤二朗
映画・テレビドラマ・演劇・バラエティ番組などで幅広く活躍する佐藤二朗が、父親役として出演。彼の苦悩や矛盾をリアリティたっぷりに表現しています。 - 原田楓(娘):伊東蒼
次世代を担う若手女優の伊東蒼が娘役を演じ、驚くべき演技力で観客を魅了します。彼女の演技は、人間の強さと弱さを繊細に描き出しています。 - 山内照巳(連続殺人犯):清水尋也
独特の存在感を持つ清水尋也が、狂気に満ちた連続殺人犯をリアルに演じます。その演技は観る者に強烈な印象を与えます。 - ムクドリ(自殺志願者):森田望智
Netflixドラマ『全裸監督』で注目を浴びた森田望智が、自殺志願者役として出演。複雑な心情を多彩な演技で表現しています。
スタッフ
- 監督・脚本:片山慎三
映画『岬の兄妹』でその才能を認められた片山慎三監督が、本作で商業デビューを果たします。彼の独自の視点と鋭い洞察力が光る作品です。
見どころ・ポイント
独自のストーリーテリング
『さがす』は、片山慎三監督の独自のストーリーテリングが光る作品です。物語は、平穏な生活が一変し、突然失踪した父を探す娘の視点から描かれます。観客は、楓の孤独や不安、そして希望に共感しながら、彼女の成長を見守ることになります。
キャストの圧倒的な演技力
佐藤二朗、伊東蒼、清水尋也、森田望智といった豪華キャストが、それぞれの役柄を見事に演じ切ります。特に佐藤二朗の演じる父親の苦悩や矛盾、伊東蒼の娘としての強さと弱さ、清水尋也の狂気に満ちた殺人犯、森田望智の自殺志願者としての複雑な心情は見どころです。
深い人間ドラマ
本作は、単なるサスペンス映画に留まらず、深い人間ドラマを描いています。失踪した父を探す娘の姿を通して、家族愛や人間の弱さ、そして希望を描き出しています。観る者は、物語の中で自身の心の奥底にひそむ苦悩や矛盾を見つめ直すことになるでしょう。
国際的な評価
『さがす』は、アジア最大規模を誇る第26回釜山国際映画祭ニューカレンツ部門に正式出品され、世界初上映となるワールドプレミアでは韓国の観客から大絶賛を浴びました。この国際的な評価は、本作の質の高さと普遍的なテーマの力強さを物語っています。
感想
原作はあるの?→オリジナル
『さがす』は、原作のないオリジナル作品です。片山慎三監督が自問自答を繰り返しながら作り上げた物語であり、その独創性と緻密なストーリーテリングが特徴です。監督自身の経験や視点が色濃く反映された作品であり、他の映画とは一線を画す独自の世界観が広がっています。
つらさ
人生には様々な決断が伴いますが、楓の父・原田智の決断は特に胸を打ちます。また、殺人犯の山内の行動も単純な悪と決めつけられず、正義や悪とは何かを考えさせられます。この作品の登場人物だったら、私はきっと現実から目を背けてしまうでしょう。
娘・楓
娘の楓はとても良い子で、中学生とは思えない行動力を見せます。中学生で一人になるのは本当に辛いことですが、彼女は強く立ち向かいます。楓役の伊東蒼さんの演技も素晴らしく、関西弁が非常に自然で驚きました。調べてみると、大阪府出身とのことで、まさにネイティブの関西弁でした。彼女のリアリティあふれる演技が、物語に一層の深みを与えていました。
おわりに
映画『さがす』は、平穏な日常が一変する中で、失踪した父を探し続ける娘の姿を描いた感動的な人間ドラマです。片山慎三監督の鋭い視点と独自のストーリーテリング、豪華キャストの圧倒的な演技力が融合し、観る者の心に深く刻まれる作品となっています。家族愛や人間の弱さ、希望を描いた本作は、日本国内のみならず、世界中の観客に衝撃と感動を与えることでしょう。ぜひ劇場で、その世界観に触れてみてください。
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