【小説】『無敵の犬の夜』小泉綾子 / あらすじ&感想
「この先俺は、きっと何もなれんと思う。夢の見方を知らんけん」北九州の片田舎。中学生の界は、地元で知り合った「バリイケとる」男・橘さんに心酔するのだが――。第60回文藝賞受賞作。
【驚異の”満場一致”受賞!】
選考委員 角田光代・島本理生・穂村弘・町田康 絶賛!!
「この現実世界の中心にかかわりたくてあがいていながら、まったくかかわることができずにいる、絶望と意識もされない絶望が、絶妙に描き出されている」角田光代
「思春期の葛藤は時に人を殺したくなるほど肥大する。その切実さが丁寧に描かれている」島本理生
「主人公の世界と自分の直結を夢見る感覚はテロリスト的」穂村弘
「すべての人物が衝動に突き動かされて瞬間をマジで生きる様が描かれて、この作者の世界観、人間観が広く深いものであることが知れる」町田康
「任侠映画」「坊っちゃん」はたまた「少年漫画」!?
――無謀で泥臭くも美しい“鉄砲玉文学”、爆誕!
「強くなったらもう誰も俺をバカにしない。恐れられ尊敬される世界。最高やん。きっといつか、もしかしたら」
北九州の片田舎。幼少期に右手の小指と薬指の半分を失った男子中学生・界(かい)は、学校へ行かず、地元の不良グループとファミレスでたむろする日々。その中で出会った「バリイケとる」男・橘さんに強烈に心酔していく。
ある日、東京のラッパーとトラブルを起こしたという橘さんのため、ひとり東京へ向かうことを決意するが――。
どこまでも無謀でいつまでも終われない、行き場のない熱を抱えた少年の切実なる暴走劇!
引用元:河出書房新社